今夜は“残り物”にしよう?

今夜は“残り物”にしよう?

*ファブリケイティング アンド メタルワーキング誌に掲載された、シグマテック エンジニアリング担当VP グレン ダーハム 氏の寄稿の抜粋転載)

今夜は“残り物”にしよう?— ソフトウェアが工場の端材を減らし、使い切るのに役立つ理由

私の家族の趣味の一つは料理で、その副産物として“美味しい残り物”がたくさんできます。冷蔵庫を開けると、豪華なディナーの名残である小さな容器が何十個も並んでいます。ただ、残り物が多すぎて、すべては食べ切れません! ときには奥に追いやられ、気づいたらカビ…なんてことも。うわっ!

工場でも同じような「カビた」端材(英: remnant / drop)に心当たりはありませんか? 端材が現場の片隅に押しやられて忘れ去られないよう、どう管理していますか? ビジネスとして「今日は端材(残り物)でいこう!」と言える状態をどう作るか、考えてみましょう。

1. シート/プレートを“埋め切る”

製造現場で早い時期に、経験豊富な工場長からこう教わりました。「最良の端材は“発生させない端材”だ」。私は新人ユーザーにソフトウェア活用法を教えるとき、必ずこれを思い出してもらいます。優れたソフトは端材管理をしっかりサポートしますが、その前に“そもそも端材を作らずフルシートを使い切る”手助けをしてくれます。

 これは簡単で当たり前のように思えるかもしれません。「それにソフトなんて必要?」と。ですが、ここにあるようなワークオーダーの一覧を見れば、材質、板厚、顧客、納期が一気に多様化するのはすぐ分かります。注文が数十件レベルになると、ソフトなしで最適化するのはほぼ不可能です。

適切なソフトウェアなら、材質・板厚・機械ごとに部品を仕分けし、シートがフル活用になるまで自動でネスティングできます。つまり、新しい板を引っ張り出してベッドに載せ、1個だけ切って端材を増やし、次回うまく使えるか祈る――そんな流れを避けられるのです。代わりに、その余分な1個は“少し待って”、同じ材質・板厚の注文がもう少し集まるのを見計らえます。

こうした運用は、たとえば次のような設定があるソフトなら簡単です:
「歩留まり(utilization)が一定割合未満なら、最後のレイアウトを破棄(Reject last layout)」

2. 端材は“早めに・頻繁に”使う

端材を“現場の片隅でカビさせない”ための二つ目の鍵は、端材をちゃんと使うこと。もちろん、ある程度の運用ルールとコミットメントは要りますが、高度なCAD/CAMソフトがあれば、端材活用をずっと楽に、しかも利益を生む形で回せます。

例として、12 mm の軟鋼で部品を切るケースを考えましょう。ソフト上の在庫には、1500×3000 の新品プレート(プライム材)が15枚あります。同時に、サイズも形状もさまざまな端材が6枚あると表示されています。

ネスティングソフトでは、これらの板をひとつのタスクにまとめて読み込み、「まず端材から使う」よう指示するだけです。

その結果、在庫中で“最も小さい端材”から順に、必要な部品がきれいに配置されます。新品プレートをまた使って“新しい端材”を積み増すのではなく、奥に眠っていた端材を1枚引き出して、有効活用という“美味しい残り物ディナー”を楽しめるわけです。

3. まとめ

毎食が“残り物”なのは誰だって嫌ですが、“残り物ナイト”はちょっと楽しい。冷蔵庫をみんなで漁って、その日の気分にぴったりの一品を見つける――そんな感じです。

端材へのネスティングも、上の例のように決まると同じ気持ちになります。確かに、その端材を見つけ出して、時には積み上げの一番下から引っ張り出すのは一手間です。でも見返りは大きい。工場のどこかで“カビそうな1枚”を減らし、次の大口注文に向けて新品プレートをラックに温存できる。みんなにとってのウィンウィンです。うん、これは“おいしい”!

シグマネスト

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Masaya Otani

大学でのCAD/CAMに係る専攻を経て、設計・開発エンジニア、CAD/CAMをはじめとする設計・業務支援システムの導入、開発をしてきました。シグマテックでは、カスタマイズ、新ソフトの開発をしております。 15年を超えて、複数の立場(使用者、選定者、開発者)からCAD/CAMと関わってきました。ユーザーの視点はもちろん、様々な角度からサポート・提案できるよう努めてまいります。